航海における北極星のように、安全性をその道標とするモービルアイは、2017年に L2+ カテゴリーを導入、AV テクノロジーによる安全機能を最新の車両にも適用し、短期間で路上の安全性を高めるとともに、より高度な自律運転に到達するまでのギャップを埋めようと取り組んでいます。
詳細情報: 2019 Mobileye Investor Summit
L2+ では、最適またはそれに満たない条件下においても、高精細マップにより車両が視界の先を予測できるようになります。モービルアイの地図には道路の形状、交通標識、道路標識などが表示され、制御上最適な判断をして、標識がなかったり認識しづらい道路でも円滑に移動できるよう、目の前の運転経路に対し、冗長性のある情報が提供されます。モービルアイはこの 2 年間で、Volkswagen や日産をはじめとする世界トップクラスの自動車メーカーと契約を締結しました。L2+ の実現により、先進運転支援システム (ADAS) のメリットを、さまざまな状況で運転する世界中のドライバーへと広げることができます。
L2+ は、米国自動車技術会が定義する 6 つの運転自動化の SAE レベルには、ぴったりと当てはまらないため、業界ではこの 2 年ほど、異なる解釈が見られました。このような理由から、モービルアイでは導入した L2+ カテゴリーの明確な定義が重要であると考えています。
L2+ とは?
見知らぬ目的地や馴染みのない目的地へ移動するとき、人間であるドライバーが頼りにするのは通常、自分の目と、スマートフォンの地図アプリやダッシュボードに搭載された GPS ナビゲーション・マップという、2 つの情報ソースの組み合わせです。GPS を使い、目の前の経路の形状や方向などを詳しく視覚的に確認することで、先の道がどのようになっているかを目で捉えて予測し、運転する道路状況を鋭く察知できるようになります。視界が悪い状況では特に有用です。
モービルアイでは 2017年に L2+ を導入する際、車両による経路の把握も同様の方法で高めたいと考えていました。つまり、先進運転支援システム (ADAS) に備わっているフロントカメラと自動運転車 (AV) のナビゲート支援を目的に設計されたクラウドソーシングで収集した高精度マップ Roadbook™ を組み合わせるのです。L2+ カテゴリーでは L1 ~ L2 の運転支援安全機能をロケーション・インテリジェンス (位置情報の活用) で強化することにより、あらゆる運転環境下においてもドライバーの利便性を大きく向上させています。モービルアイの Road Experience Management™ (REM™) マッピング・ソリューションにより、車両がクラウドソーシングの Roadbook™ データを活用することで、ドライバーの感知能力を増強できます。また、不確実な情報を排除し、先進的な運転操作を向上させ、より複雑なドライブ設定でも使用できるようになりました。
レーンキープ・アシスト機能を例に考えてみましょう。L2+ 対応の車両では、地図データによって、環状交差点や舗装されたばかりの道路または市街地など、車線マークがない、または分かりにくいエリアでも、車線中央維持機能が有効になります。またこの機能は、昼夜を問わず、霧、日の出、日没、豪雨、降雪、路面反射など、フロントカメラの視界に影響するような厳しい天候条件においても利用できます。L2+ テクノロジーにより、近くの車線も標識もない高速道路の出口も車両側で検出し、ルートの先にある急カーブの幅や通行可否の表示も可能になります。
L2+ 対応車では、REM™ に新しい機能を追加し、どの信号がどの車線に指示を出しているのかなど、運転に関するさまざまな慣習 (例えば、赤では右折する、分岐点に入ったときの停止位置はどこか、この道路が一方通行か対面通行か) を含め、都市部での運転をアシストする ADAS を補強しています。
レーンキープ・アシストの視点から見た L2+
上の動画では、ADAS と Roadbook™ テクノロジーの両方を搭載している車両からの視界 (左) と、ADAS のみを搭載している車両からの視界 (右) を比較しています。特にレーンキープ・アシスタント機能を評価するため、次のクリップ画像で L2+ による違いを示します。
ADAS のメリットを新たな領域へ拡張
レーンキープ・アシストとさらにその先のテクノロジーにおいて、L2+ は ADAS 機能を強化するだけにとどまらず、新たな可能性も実現します。ADAS による半自律機能の一部、例えば手放し運転などは、高速道路のような特定の運転条件下では安全と見なされています。同じ機能を Roadbook™ のマップデータで増強し、より高度な設定で L2+ 対応車両に展開すると、安全性への信頼レベルもさらに高まると期待できます。L2+ テクノロジーを搭載した車両のドライバーは、必要に応じて操作を確認して制御できるよう、常に注意力を維持する必要はありますが、この機能強化により、都市部やほかの地域でも、最先端の半自律運転機能の利用が拡大されると見込まれています。
L2+ のこれから
L2+ は、運転の安全性と利便性、双方を高めようと取り組む自動車メーカーにとって刺激的なチャンスをもたらします。モービルアイは今年に入り、中国最大の自動車メーカーである Great Wall Motors (GWM) との提携に向けて一歩踏み出しました。L0 ~ L2+ までサポートする モービルアイベースの ADAS を、今後 3 ~ 5 年にわたり、さまざまな車種に組み込むことを目的としています。また、マスマーケットへの展開を目指し、運行領域の広い L2+ 製品の開発について、Volkswagen とのコラボレーションにより引き続き進めていきます。
モービルアイとインテルにとって、安全性はイノベーションを支える原動力です。L2+ により、道路交通が関わる死亡・重症事故のない「ビジョンゼロ」の未来に向けて、この世界が大きく前進することを願っています。