ドライバーレス・モビリティーの実現に向けて

ロボタクシーが最初に経験する完全自動運転車になる理由

 

<ご参考資料>

2019年7月9日に米国で発表された資料の抄訳です。

 

現在、自動車メーカーと自動運転を実現しようとするテクノロジー企業がさまざまな提携を行っているのを見て、その重要性と将来像に思いを馳せるのは自然なことです。一方で、現実的には自動運転技術が実現し、それが社会に受け入れられるまでに想定以上の時間を要することや、このような技術への投資コストは1企業では賄いきれなくなってきていること、さらに各社の提携関係を進めるには、政府や一般の人々に受容される規制やメーカー各社が合意できる基準が不可欠であることをご存知でしょうか?

 

そこで今その全体像からインテルとモービルアイがこの状況の中でどのような立ち位置にいるのかをご説明したいと思います。

 

「自動車 – 技術 – AI」の3つの側面

「自動車 – 技術 – 人工知能(AI)」には、以下の3つの側面があります。

  1. 先進運転支援システム(ADAS)
  2. モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)の未来としてのロボタクシー
  3. 量産型乗用車の完全自動運転

 

ADAS技術では、ドライバー自身が運転をコントロールし続けますが、事故を防止するため必要に応じてシステムが介入します。これは、注意散漫な運転が増える中、特に重要な技術といえます。ADASは、自動車技術者協会(SAE)によってレベル0~2と定義されており、その目的は事故の確率を極小レベルにまで削減することです。「自動車 – 技術 – AI」におけるこの重要なフェーズは現在進行中であり、現時点での市場普及率は約22%ですが、2025年までに75%まで急上昇すると予想されています。[i]

 

一方、「自動車 – 技術 – AI」における自動運転は、ロボタクシーによるMaaSと量産型乗用車の完全自動運転という2つのフェーズがあります。自動車産業の多くの企業は、従来とは異なり、これら2つのフェーズが並行して進むことは無いという認識になっています。

 

量産型乗用車の完全自動運転(SAEレベル4~5)は、ロボタクシーが始まりそして成熟するのを待たなければなりません。その理由として、費用、規制、地理的拡大の3つの要因が挙げられます。最初からすべての要因を同時に最適化することは困難である事が見えてきており、業界の多くがいずれは量産に至る最適な道筋を模索しています。その上で多くの業界リーダーは、完全自動運転車(AV)の最初の対象をロボタクシーにすることで、課題解決が可能であると認識し始めています。

 

コスト:カメラ、レーダー、ライダー、高性能コンピューティングを搭載した完全自動運転システム(SDS:Self-Driving System)のコストは数万ドルにのぼり、今後数年間は大きく下がらないものと見られます。このコストは、ドライバーレスのライドヘイリングサービスでは許容範囲とされますが、量産型乗用車には明らかに高額すぎます。SDSが量産型乗用車に導入されるためには、現在の費用よりも1桁小さい数千ドル以下に収まらなければなりません。

 

規制:注目度が低い分野ですが、SDSの開発に深く関わる企業は、規制が一番の難問であると認識しています。運転免許を付与する法律が人間を対象にしているという事実に加えて、社会に受け入れられるやり方で安全性と有用性とのバランスをどのようにとっていくのかという重要な課題があります。

 

個人所有の車向け法整備よりも、ロボタクシー用の車両を管理する法律や規制を整備する方が容易でしょう。車両運行会社が、利用ケースや地理的領域ごとに限定された認可を受け、詳細報告や遠隔でのオペレーションを行う事になります。反対に、そのような自動車を一般市民に許可する場合、現在自動車やドライバーを管理している複雑な法律や規則の完全な見直しが必要になります。

 

自動車業界は、規制と技術が均衡点に達するまでは量産型完全自動運転の実現は難しく、ロボタクシーのフェーズで完全自動運転の実現を行うことが最適であることを徐々に認識し始めています。

 

地理的拡大:第3の要因は、非常に詳細かつ正確な高精細地図を作成し、そして継続的に更新し続ける必要があるという課題です。量産型完全自動運転車は、必然的に「あらゆる場所で」ドライバーレスで走れる事が期待されるため、地図の地理的拡大が不可欠です。一方、ロボタクシーは特定地域に限定することが可能であり、地理的拡大はロボタクシー産業の成熟とともに達成されます。

 

コスト、規制、規模の要因を総合的に捉えることで、量産型乗用車の自動運転の実現はロボタクシーのフェーズ以降になることを、皆様にもご理解いただけるのではないかと思います。

 

こうした事が徐々に明らかになるに従い、自動車業界はレベル2の提供に重きを置き始めています。ドライバーが常に自動車をコントロールする拡張型ADASであれば、規制やコスト、規模の課題に直面することなく、自動運転の安全性の利点の多くを実現することが可能です。

 

同時に、自動車メーカーは、ロボタクシーを利用したMaaSの出現を受け入れる事によって、規制やコスト、規模の課題を解決しようとしています。ロボタクシーによるMaaSが普及し成熟した段階で、自動車メーカーは、量産型乗用車の自動運転という次の(そして最も変革を迎える)フェーズへ移行するでしょう。

 

自動運転に向けた戦略

これらを念頭に置き、インテルとモービルアイは、乗用車の自動運転実現にむけた最も効率的な道筋に重点を置いています。これには長期的な計画が必要であり、大規模な投資を継続することができた場合には、そのリターンは非常に大きなものになるでしょう。私たちは、次の4つの重点分野に軸足を置いて進んでいます。

 

・引き続きADAS開発の最前線に立ち続けます。ADASが人命救助技術の中核であるという事実に踏まえ、最も厳しい安全性試験で私たちの技術を評価する自動車メーカーと共に、年間数十もの新しい生産課程を通じて、自動運転に必要な技術構成要素を検証することができます。現在、当社のADAS技術を搭載する自動車は3,400万台を超え道路を走行しています。これが、長期的な自動運転開発を推進するための財政的な「燃料」となります。

 

・引き続きカメラ中心の構成を基にしたSDSを設計します。カメラのみで自動走行可能にする堅牢なシステムを構築する事により、レーダーやライダーからの冗長的な付加情報を必要とする安全上の重大な領域をピンポイントで特定できるようになります。不必要な過剰設計や「センサーの過重負担」を回避するこのような取組みはコスト低減の要となります。

 

・クラウドソースで自動的に高精細な地図を作成するRoad Experience Management™(REM)を構築し、地理的拡大の課題を解決します。モービルアイでは、自動車メーカーとの既存契約から、2022年までに2,500万台以上の自動車から道路データが送信されると推測しています。

 

・ロボットドライバーの有用性および敏捷性と、安全運転の社会的規範に合致した安全性モデルを両立させる安全運転の公式モデルであるResponsibility-Sensitive Safety(RSS)を通じて、規制面における問題の解決を図ります。

 

インテルとモービルアイは、グローバルなロボタクシーの機会に全力で取り組んでいます。私たちは、自動運転を実現する技術だけでなく、携帯電話からのライドヘイリング予約からやモビリティ事業の車両管理を含む、ロボタクシーに関連する全てを網羅する技術を開発しています。可能な限り多くのプロセスに対する私たちの実践型アプローチにより、ロボタクシーのフェーズからの学習を最大限に活用し、量産型自動車の自動運転に最適なタイミングが来た際に、自動車メーカーに最適な解決策を提供する事ができます。

 

その過程において、パートナー企業がADASによる人命救助に向けた安全性革命を実現できるよう、私たちはその支援を行っていきます。私たちは、これが、自動運転の実現に向けた道のりにおいて達成される偉大な価値の強力かつ歴史的な例になるであろうと確信しています。

 

アムノン・シャシュア博士は、インテル コーポレーション 上席副社長 兼 モービルアイ 社長 兼 CEOです。

 

[i] Wolfe Research 2019.

インテルについて

インテル(NASDAQ: INTC)は、半導体業界をリードする企業として、世界中の技術革新の基盤となるコンピューティングや通信の技術により、データを中心とした未来を創造します。技術的な優位性を基盤に、世界中のさまざまな課題の解決だけでなく、クラウドからネットワーク、エッジ、そしてそれらをつなぐあらゆるモノに至るまで、スマートかつつながっている世界を支える数十億ものデバイスやインフラを安全に接続するための支援に取り組んでいます。インテルの詳細については ニュースルーム またはインテルの Webサイト をご覧ください。

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