Intel Official News and Information

インテル、1億ニューロンが組み込まれたニューロモーフィック・リサーチ・システムを発表

 

※2020年3月18日に米国で発表された資料の抄訳です。

 

最新情報:インテルは本日、1億ニューロンの演算能力を備えた最新かつ最もパワフルなニューロモルフィック・リサーチ・システム「Pohoiki Springs」を発表しました。「Intel Neuromorphic Research Community(INRC)」のメンバーはクラウド経由で本システムを利用可能となり、より大規模かつ複雑な問題の解決に取り組めるようになります。

インテルラボ ニューロモーフィック・コンピューティング担当ディレクターのマイク・デイビス(Mike Davies)は「Pohoiki Springsにおいては、『Loihi』と呼ばれるニューロモーフィック・リサーチ・チップの計算能力が750倍以上強化され、同時に500ワット未満での稼働を実現しています。このシステムの登場により、インテルの研究パートナーは、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)システムを含む従来のアーキテクチャー上で、処理時間を要しているワークロードに対し、より高速化する方法を模索することが可能になります」と述べています。

 

Pohoiki Springsとは:Pohoiki Springsは、データセンターにおいて利用されるラックマウント型システムで、インテル史上最大規模のニューロモーフィック・コンピューティング・システムです。標準的サーバー5台分のサイズのシャーシ内に、768基のLoihi ニューロモーフィック・リサーチ・チップが搭載されています。

Loihiプロセッサーは人間の脳を模倣したもので、特定領域における負荷の高いワークロード処理を、従来型のプロセッサーと比較して最大1,000倍高速に、かつ1万倍高効率に行うことが可能です。Pohoiki Springsは、そのアーキテクチャーの拡張により、AIに関する課題だけでなく、演算が難しいより広範な問題を解決できる可能性があるかどうかを判断するための、Loihiからの重要なステップとなります。インテルの研究者は、ニューロモーフィック・システムの優れた並列処理や非同期信号により、現在利用可能な最先端の従来型のコンピューターと比較して、劇的な消費電力の削減と、大幅なパフォーマンスの向上が実現できると考えています。

 

拡張への機会:自然界では、ごく小さな生物でさえ、非常に難解な計算問題を解決できます。例えば、多くの昆虫は、100万をはるかに下回るニューロンしか持たない脳であるにもかかわらず、視覚的に物体を追跡し、移動し、そして障害物を回避するということをリアルタイムに実行することができます。

同様に、インテルの最小ニューロモーフィック・システムである「Kapoho Bay」は、26万2,000のニューロンが組み込まれたLoihiチップ2基で構成され、さまざまなリアルタイムのエッジワークロードを処理します。インテルとINRCの研究者は、Loihiが、リアルタイムでジェスチャー(身ぶり手ぶり)を認識する、新しい人工皮膚を使用して点字を読む、学習済みの視覚的建造物に沿って方向を定める、新しい匂いを学ぶといったことを、わずか数10ミリワットの電力消費で実行できることを実証しました。これらの小規模な例は、従来型のソリューションと比較して、Loihiがより高速かつ効率的に大きな問題を解決できる優れた拡張性を備えていることを示すものです。これは、昆虫の脳から人間の脳まで、自然界で見られる脳の拡張性そのものを反映しています。

Pohoiki Springsに1億のニューロンを組み込むことにより、Loihiのニューラル能力は小さな哺乳動物の脳のサイズまで上昇しました。これは、より大規模かつ複雑化されたニューロモーフィック・ワークロードの処理に向けた大きな一歩です。自律的でつながった未来においては、リアルタイムかつ動的なデータ処理に対する新たなアプローチが求められており、Pohoiki Springsはその基盤となります。

 

利用方法:Pohoiki Springsを含むインテルのニューロモーフィック・システムはまだ研究段階であり、従来型のコンピューティング・システムに代わるものではありません。研究者にツールとして使用してもらい、リアルタイム処理、問題解決、適応、学習向けのニューロン触発型アルゴリズムの開発や特性化への取り組みを進めていきます。

INRCメンバーは、インテルのNx SDKやコミュニティーにより開発されたソフトウェア・コンポーネントを使用してクラウド経由でPohoiki Springsにアクセスし、アプリケーションを開発します。

Loihi向けに開発された、有望かつ非常に拡張性が高いアルゴリズムの例は以下の通りです。

  • 制約充足:ゲームの数独から飛行機の運航スケジュールや荷物の配送計画まで、現実世界のあらゆる場所で制約充足問題は存在します。特定の制約条件を満たす1つあるいは複数の解を特定するために、可能性の高い多数の解を評価する必要があります。Loihiは、多くの異なる解を高速かつ並行的に調査するので、このような課題解決を高速化することができます。
  • グラフとパターンの検索:運転方向の決定や顔の認識など、最適な道筋や厳密に一致するパターンを見つけるために、私たちは日々の生活の中でグラフに基づいたデータ構造を検索しています。Loihiは、グラフ内の最短経路を迅速に識別したり、近似の画像検索を実行できる能力を備えています。
  • 最適化問題:ニューロモーフィック・アーキテクチャーの経時的な動的挙動が特定の目標を数学的に最適化するよう、アーキテクチャーをプログラム化することが可能です。この挙動は、無線通信チャンネルの帯域幅の最大化や、株式ポートフォリオの割り当てにおいて目標利益率でのリスクを最小化するなど、実際の最適化問題の解決に適用できる可能性があります。

 

ニューロモーフィック・コンピューティングについて:CPUやGPUといった従来の汎用プロセッサーは、非常に正確な数学の計算など、人間にとって難しいタスクに特に秀でています。しかし、技術の役割と用途は拡大しています。変化に適応しながら、リアルタイムで非構造化データやノイズが多いデータを処理するという、コンピューターが人間のように作動することに対するニーズは、自動化からAIに至るあらゆる場所で顕在化しています。そしてこの課題は、新しく特殊なアーキテクチャーの開発を推進する原動力となります。

ニューロモーフィック・コンピューティングは、コンピューター・アーキテクチャーをボトムアップで一から再考したもので、その目標は、神経科学からの最新の洞察を適用し、従来からのコンピューターのように機能するものではなく、人間の脳のように機能するチップを創り出すことです。ニューロモーフィック・システムは、神経の組織化を模倣し、ハードウェアレベルで通信、学習します。インテルは、Loihiおよび将来のニューロモーフィック・プロセッサーがプログラマブル・コンピューティングの新機軸を定義し、インテリジェント・デバイスに対する世界の高まる期待に応えることができると考えています。

 

More Context: Neuromorphic Computing (Press Kit) | Intel Labs (Press Kit)

インテルについて

インテルは業界のリーダーとして、世界中の進歩を促すとともに生活を豊かにする、世界を変えるテクノロジーを創出しています。ムーアの法則に着想を得て、顧客企業が抱える大きな課題を解決する半導体製品を設計・製造し、その進化に向けて日々取り組んでいます。クラウド、ネットワーク、エッジ、あらゆるコンピューティング機器のインテリジェント化によりデータの価値を最大化し、ビジネスと社会をより良く変革します。インテルのイノベーションについては、https://newsroom.intel.co.jp またはhttps://intel.co.jpをご覧ください。
* Intel、インテル、Intel ロゴ、インテルのマークは、米国およびその他の国におけるインテル コーポレーションの商標です。
* その他の社名、製品名などは、一般に各社の商標または登録商標です。